インプラント治療
【インプラント】歯を失ってしまった場合の治療方法
インプラントが一般的に普及するまで、歯を失った方は「入れ歯」や「ブリッジ」を入れていました。でも入れ歯は不快感が生じやすく、ブリッジは両隣の歯を削らなければならないという点があり、「もっと自分の歯に近い義歯を」と望む声が多くありました。
不快感を覚えにくく、本物の歯と同じような「インプラント」
インプラントとは、歯が抜けてしまった部分にチタンでできた人口歯根(インプラント)を埋めて顎の骨と結合させ、それを土台に人工の歯を取り付ける治療法です。
歯を失ってしまった場合の治療法として、入れ歯やブリッジと比較されますが、ブリッジのように周囲の歯を傷つけることもなく、入れ歯のように浮いたりズレたりする心配もありません。インプラントは自分自身の顎の骨としっかり結合しているので、本物の歯と同じように使うことができます。
【歯を失ったときの治療法】インプラント・ブリッジ・部分入れ歯の比較
歯が抜けてしまったら
永久歯を失ってしまうと二度とその歯は生え替わってきません。たった1本の歯を失っただけで体全体のバランスが崩れてしまいますので、できるだけ早く抜けてしまった部分を補う治療が必要です。
●歯が抜けた後、そのままにしておくとどうなる?
歯が抜けてしまった後、治療をせず放置してしまうと次のような悪い影響が出てしまいます。- 両端の歯が失った歯のあった位置に傾斜してきてしまう
- 対合歯(噛み合っていた反対側の歯)が飛び出してきてしまう
- 歯の隙間が広がり、噛む力が弱まってくる
- 残りの歯に加わる力が大きくなり、健康な他の歯の寿命を縮めてしまう
- きちんと噛めないことで咀嚼障害が起き、胃腸などの消化器官へ負担がかかる
- 上手く発音できなくなる
- 噛むことで得られる脳への刺激が控えめになる
歯が抜けた後の治療には、3つの選択肢があります
歯を失ってしまった場合の治療には、ブリッジ、部分入れ歯、インプラントと3種類の選択肢があります。どの治療にもメリット・デメリットがありますので、当院では事前にしっかりと説明し、患者さまがご自身にとって適切だと思う治療法をお選びいただけます。
インプラント
【治療法】
失った歯根の代わりに人工の歯根(インプラント)を埋め込み、その上に人工の歯を被せる方法
【メリット】
- 入れ歯のように滑りやズレがなく、力強く噛むことができる
- 他の歯にダメージや負担をかけない
- 自分の歯のように見た目が自然で綺麗
- 発音に支障が出ない
- 良好な噛み合わせが維持できる
【デメリット】
- 外科的手術が必要
- 治療期間が長期に渡る
- 健康状態などにより手術できない場合がある
- 保険が適用されず、費用がかさむ
- インプラントを埋入して終わりではなく、定期メンテナンスが必要
ブリッジ
【治療法】
歯を失った場所の両隣の歯を土台にして、人工の歯を支える方法
【メリット】
- 自然の歯と同じような見た目が回復できる
- ある程度自分の歯と同じように噛むことができる
- 固定式であるため、ほとんど装着感なくつけることができる
- 噛み合わせを回復でき、歯をつなぐことで噛む力を分散できる
- 保険適用の場合は費用を抑えることができる
【デメリット】
- 両側に健康な歯がない場合や、多くの歯を失った場合は処置できない
- 土台となる健康な歯を削る必要があるので、土台の歯に負担がかかる
- 土台となる歯に余計に負担がかかったり、ブラッシングがしにくくなるので、歯を失う場合がある
- 長持ちしなくなる可能性がある
部分入れ歯
【治療法】
歯を失った場所の周囲に金属の留め金をつけて固定させる方法。取り外しが可能
【メリット】
- 治療期間が読みやすい
- 取り外しができるので手入れしやすい
- 保険適用の場合は費用が抑えられる
【デメリット】
- 見た目がよくない
- 固いものを強く噛むことができない
- 取り外して手入れをしなければならない
- 装着した時の違和感がある
- 上手く発音ができなくなる場合がある
- 入れ歯を支える骨や歯の喪失を招きやすい
- 金属を付けるので、健康な歯に負担をかけてしまう
インプラントは、こんな方に適しています
●入れ歯の不快感が苦手な方
入れ歯を入れると嘔吐感があったり、うまく発音できなくなるのが気になる方には、お口の中を快適な状態で過ごせるインプラントがお勧めです。
●自分の歯と同じように噛みたい方
歯を失っても、「第二の永久歯」と言われるインプラントを装着することで、ご自分の歯と同じように噛むことができます。
●ブリッジで両隣の健康な歯を傷つけたくない方
ブリッジには入れ歯のような不快感はありませんが、両隣の歯を削らなければなりません。インプラントにはその必要がなく、むしろ両隣の歯を支える存在になれます。
●入れ歯の口臭が気になる方
インプラントは普通の歯と同じようにメンテナンスができるので、口臭に悩まされることがありません。
【当院のインプラントの特徴1】ICOI(国際口腔インプラント学会)インプラント指導医
理事長はICOI(国際口腔インプラント学会)の資格であるDiplomate(指導医)を取得しております。
【当院のインプラントの特徴2】歯を失った方も大丈夫All-on-4
●その日から噛める新しいインプラント治療
All-on-4(オールオンフォー)とは、総入れ歯の方や多くの歯をなくされた方のためのインプラント装着法です。その名の通りすべての歯を上下4本ずつ計8本のインプラントで固定します。
この方法を使うと、インプラントを挿入するための骨が足りない方でも、インプラントを使うことができます。入れ歯のように食べ物が挟まることなく、しっかり噛んで味わうことが可能です。また、取り外す必要がないため会話ができます。
【当院のインプラントの特徴3】歯科用CTを用いた治療
インプラント治療における事故の大きな原因の一つとして、正しい診断ができずに誤った方向・角度・深さに埋入してしまったというケースがあります。
“医療事故を防ぐ診断”が可能
このようなことがないよう、当院でインプラント治療を行う際は、治療前にCTスキャンを使用しています。CT撮影を行うことで3次元的にインプラントの装着位置が把握でき治療に反映しやすくなるインプラント治療が可能となるためです。
また、レントゲンではわからなかった骨の奥行き・骨の幅・厚みを知ることができます。今では、インプラントの治療に欠かせない検査のひとつと言えるでしょう。治療を効率よく進めるためも院内設置にCTを設置しております。
●歯科用CTを導入するメリット
- インプラントを入れる位置や方向のシミュレーションが可能
- 難しい手術ができる
- 事前の確認ができるため、患者さまの負担を緩和できる
- 治療時間の効率化
【当院のインプラントの特徴4】インプラント手術
完全個室のオペ室を完備
当院では、インプラントや口腔外科手術のためのオペ室を完備しています。完全個室にすることで、他のユニットからの空気感染・飛沫感染を防げます。
麻酔の専門医師による静脈内鎮静法
「インプラントには興味があるけれど、どうしても手術が怖い」という方もいらっしゃるかもしれません。そんな方のために、当院のインプラント手術の際は、麻酔を専門とする医師による「静脈内鎮静法」を導入しています。
この麻酔を使うことで、眠っているような状態で手術を受けられます。ハンモックでゆらゆら揺られているような状態を想像してみてください。静脈内鎮静法での治療は、まさにそんなイメージです。治療中の記憶はほとんどなく、あっという間に治療が終わる感覚です。
実際にこの麻酔を使うことで、多くの患者さまがインプラント治療を成功させています。
●こんな方にお勧めです
- インプラント治療に対する不安や恐怖心のある方
- 嘔吐反射を覚える方
- 過去に局所麻酔や治療で気分が悪くなった方
- インプラント本数の多い方、インプラントのための骨移植が必要な方など、長い手術時間を要する場合
静脈内鎮静法の流れ
静脈内鎮静法は、眠っているのとほぼ同じような状態のままインプラントの手術を終えられる方法です。治療に不安を持っている方、全身疾患をお持ちの方や緊張を覚えやすい方などにふさわしい麻酔方法です。
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STEP1ご来院
風邪などで鼻が詰まっている時や、熱がある時はお早めにご連絡ください。
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STEP2手術前の体調チェック
麻酔を専門とする医師が改めて問診いたします。ご不安やご心配などがあれば、お気軽にご質問ください。
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STEP3点滴の準備
血圧や呼吸を監視する生体モニターを装着します。
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STEP4点滴の開始
腕の静脈から、少しずつ麻酔薬を投与します(10分程度で麻酔が効いてきます)。
薬の効果を確認し、必要に応じてお口の中に痛み止め(局所麻酔)をします。 -
STEP5手術中の状態
麻酔が効いてくると眠くなりますが、全身麻酔のように意識がなくなることはありません。
意識があるので、不快なことがあれば会話することも可能です。
痛みはなく、うとうとした状態のまま手術が終わります。 -
STEP6手術終了
ふらつきや眠気がなくなるまで、診療台で横になったままお休みいただきます。
十分に意識が回復した後、お帰りください。
なお当日は、自転車、バイク、お車の運転はできません。
生体情報モニターで体調の異変を感知
当院では手術の際に「生体情報モニター」を使用し、心電図・脈拍・血圧・血中酸素濃度・呼吸など、患者さまの全身状態を厳重に監視しながら治療しています。
生体情報モニターにデータを映し出し、全身状態をリアルタイムで把握しながらインプラント手術を行います。患者さまの体調に異変があった場合も、迅速な対応が可能です。
高血圧や心臓疾患をはじめ、何らかの全身疾患をお持ちの方、お年寄りの方でも治療をお受けいただけます。
【当院のインプラントの特徴5】サージカルガイドを使用
当院では、外科手術であるインプラントを効率よく行うため、インプラント術前シミュレーションソフトの「シンプラント」や「ノーベルガイド」を使用しています。
シンプラント、ノーベルガイドは、CTで撮影した3D画像を用いて効率よく治療計画を立てることができ、問題の生じにくい手術に努めることができます。また、患者さまにも治療計画をより理解していただくことが可能です。
シンプラント、ノーベルガイドの特徴
- 切開手術を行わないので、術後の痛みや腫れを抑えることができる
- 3Dのシミュレーションガイドに合わせて治療を行うため、正しい位置への治療が可能
- 手術の効率化が図れる
- 治療箇所への負担を抑えられるため、手術後に新しい歯で噛める
シンプラント、ノーベルガイドによる治療の流れ
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STEP1CT撮影
正しい診断を行うためにCTで撮影を行います。インプラント治療を行うためにはCTが欠かせません。
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STEP23D画像の作成・シミュレーション
CTで撮影したデータを用いて3D画像を作成し、インプラントを入れるポイント、上部構造を把握するためにシミュレーションを行います。事前のシミュレーションで、治療後の機能性・審美性が更に優れた治療を可能にします。
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STEP3ガイドを作成する
シミュレーションしたデータを基に、インプラント治療に使用するガイドを作成します。
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STEP4手術を行う
ガイドをあてて治療をするため、切開が必要な大きさだけ削り手術を行えます。それにより出血や腫れを抑えることも可能です。効率を考え手術時間につながるので患者さまのお体への負担も抑えられます。
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STEP5術後の状態によっては当日に噛めるようになる
手術前のシミュレーションにより、上部構造も作成できますので、患者さまはその日のうちに新しい歯を手に入れることができる場合もあります。
※必ず手術当日に新しい歯が入るとは限りません。
インプラント治療の流れ
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STEP1診断・治療計画
問診やCT・レントゲン・口腔内写真撮影などで診断を行い、インプラントをどこに何本埋め込むか治療計画を立てます。その際に、虫歯や歯周病があれば治療します。インプラントを埋め込むための顎の骨の量が足りない場合は、骨移植などを行う必要があります。
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STEP2インプラントの埋め込み(一次手術)
インプラントを埋める部分の歯肉を開き、顎の骨にインプラントを埋め込み、歯肉を閉じて縫います。一次手術終了後、インプラントが骨の中でしっかり結合するまでの治癒期間を設けます。治癒期間は個人差がありますが、通常2~6ヶ月です。
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STEP3人口歯を取り付けるための準備(二次手術)
歯肉を小さく切開し、埋まっているインプラントの頭部を露出させ、人口の歯を接続するための土台を取り付けます。歯ぐきが治るまでに1~6週間程度かかります。
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STEP4人工歯の装着(治療の完了)
人工歯をインプラントに取り付けます。治療後は定期的に検査とメンテナンスを行います。インプラントを長持ちさせるためにも、定期的なメンテナンスは重要です。
【増骨手術もできます】「顎の骨の量が足りない」と言われた方へ
「顎の骨の量が足りない」と言われ、インプラントができない場合があります。実際、インプラントを埋め込む骨が十分にない場合、装着することは不可能です。
ただし、増骨手術を行うことでインプラントの装着が可能になる場合もあります。増骨手術は患者さまの状態によっていくつか方法があります。実際に手術が可能かどうかは詳しく検査をしなければわかりませんので、まずはご相談ください。